自己破産
自己破産とは?
裁判所手続きによって、債務が免責される債務整理手段です。
平たく言えば、借金がチャラになります。
ただし、原則20万円以上の財産(現金の場合には99万円を超える金額)があれば、それを現金化して、借入先の消費者金融やクレジットカード会社(以下「債権者」といいます)に分配します。
それでも返済しきれない場合には、債務が免責されるというのが自己破産です。
注意点
免責されない債務
税金や罰金(交通違反など)は免責されません。
自己破産後も支払う必要があります。
免責されない場合
以下の場合は免責されない可能性が高いです。
- 浪費やギャンブルなどで大きな借金を作った場合。
- 破産時に換価されるべき財産を隠したり、壊したり、債権者に不利益に処分した場合。
- すでに返済不能の状態なのに、そうでないように偽って債権者を信用させて、さらに金銭を借り入れたり、クレジットカードを利用して商品を購入した場合。
- 免責の申立の前7年以内に免責を受けている場合(何回も破産するなという意味ですね)。
自己破産が適している方
自力で3年以内に返済できない方に適しています。
任意整理では、通常は3年、長くても5年で支払い終えるような計画です。
それが無理な場合のみ、自己破産を選びます。
逆に、3年から5年で支払い終える計画が作れるのであれば、裁判所が破産を認めてくれませんので、任意整理等の他の手段によることになります。
自己破産のメリット・デメリット
メリット
- 取立が止まります。
- 返済金額が0円になります。
- 任意整理と違い、交渉ではありませんので、破産手続きを淡々と進められます。
デメリット
- 原則20万円以上の財産(現金の場合には99万円を超える金額)を持っている場合、それを失う可能性が高いです。
- 自己破産手続きの期間中(3~6か月間)は、特定の職業に就くことができなくなります(例:弁護士・司法書士・行政書士・税理士などの士業、宅地建物取引主任者、生命保険募集人、旅行業務取扱管理者、警備員など)。
- いわゆるブラックリストに載るため、その先5年程度は新たに消費者金融から借金できなかったり(ヤミ金なら貸してくれますが‥)、クレジットカードやローンが利用できなかったりします。
- 住所・氏名が「官報」という国が発行する機関紙に掲載されてしまいます(一般人が見るようなものではありませんので、家族や知り合いにバレる可能性は低いです)。
自己破産の流れ
1 初回相談(無料)
あなたの場合どうしたらいいのか、まずは弁護士等に相談しましょう。
【相談時の持ち物】
・債権者のリスト
・取引履歴がわかるもの
・債権者(担当者)の名刺
・その他、相談内容に関係するもの
初回相談が終われば、依頼者は当分は連絡待ちの状態になります。
※ 債権者に自己破産を行うことを伝えておく必要は全くありません
2【弁護士等の業務】受任通知発送・取引履歴の開示要求
依頼した弁護士法人・法律事務所より、債権者各社に「受任通知」という書面を送ります。
受任通知とは、依頼者の借金問題について弁護士等が介入したことを伝える書面です。
通常、受任通知は依頼したその日に発送されます。
宛名だけ変えればいいだけの定型書面ですので、すぐに発送できます。
これとあわせて、これまでの取引履歴の開示を要求します。
債務がいくらあるのかの調査をするためです。
3 取立停止
債権者の担当者が受任通知を受け取ったときから、取立が止まります。
上記のとおり受任通知はすぐに発送できますので、取立が止まるまでの期間は、依頼から1週間くらいで見ておかれるのがちょうどいいです。
4【弁護士等の業務】破産手続開始決定
弁護士等に依頼した場合、自己破産の申立書提出と同時に「即日面接」を行うことができます。
この面接は、本人の出頭は必要ありません。
通常であれば、この日のうちに破産手続開始が決定します。
5【換価する財産がある場合】財産処分・配当等
換価する財産がある場合は、破産管財人によって財産を換価して、債権者に分配します。
この流れにおいて、債権者集会も行われます。
債権者集会というと、もしかしたら怒号が飛び交うイメージかもしれませんが、通常は淡々と進むだけです。
わざわざ裁判所まで文句を言いにくる債権者は少ないです。
6 免責審尋
裁判官が本当に免責すべきかどうかを検討するために、本人と面接を行います。
弁護士等だけではできませんので、このときには一度出頭することになります。
7 免責許可決定
免責審尋の約1週間後くらいに、裁判所から免責許可決定が出ます。
8 免責許可決定確定 → 解決!
免責許可決定後1か月を経過すると、免責許可決定が法的に確定します。
これは、法律の規定で何もせずとも確定しますので、手続きはありません。
以上で、晴れて解決です。
自己破産の費用
現在では、弁護士費用は自由化されており、各弁護士法人・法律事務所によって、料金体系が大幅に異なります。
詳しくは、債務整理の専門家一覧のページをご覧ください。
弁護士費用
私が在籍していた弁護士法人の場合、換価する財産が無い場合で30万円+消費税、換価する財産がある場合で40万円+消費税でした。
実費
- 裁判所費用として、おおむね3万円あれば足ります。
- 弁護士等に裁判所に行ってもらった時の交通費や、換価する財産がある場合における管財費用がかかります。
自己破産が可能な弁護士法人・法律事務所一覧
上記のとおり、ご自身で自己破産を行うのは、ほぼ無理です。
そこで、自己破産で代表的な弁護士法人・法律事務所をご紹介します。